2018年01月12日

深沢七郎著「楢山節考」(1957年)

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最近読んだ本の中で、最も衝撃を受けたかもしれない。
人間の根源を目の前にえぐり出され、広げて見せられた感覚がある。
確かにそうかもしれない。

昔、昔。食べ物がそう豊富にない貧しい村落では、口減らしのために長生きのお年寄りは山に捨てられていたのかもしれない。それが習わしだから、誰も不思議とは思わないし、皆は順番にそれに従うまでだ。

人が人として子孫を残していくためには当たり前のこと、そう考えると残酷だとか非人道的だ、とかそんなことを感じる余地はないのかもしれない。

深沢七郎の「楢山節考」は、姥捨て伝説がモチーフとなっている。昔ばなしの「姥捨て山」は、孝行息子が老母を救う話だが、「楢山節考」の孝行息子は、掟に逆らおうとはしない。

老女おりんは、70歳になったら楢山へ行く村の掟に従って山行きの準備をする。家族内の問題を次々と片付け、心置きなく山へ向かおうとしている。息子の辰平はそんな母の姿を見て密かに涙をこぼすが、やがておりんを背負い、山へ登っていく。

坂本スミ子さんと緒形拳さんの主演によって映画化された「楢山節考」(1983年、今村昌平監督)には原作にはないシーンを加えて、部落の過酷な貧しさを強調している。左とん平さん演じる辰平の弟利助は「奴(やっこ)」と呼ばれる家の雑用係。食糧が乏しい村で次男は、嫁をもらって子を持つことも許されない。性欲を抑えきれない姿が滑稽に描かれる。

他人の食糧を盗み続けてきた家族を、村人総出で生き埋めにして「始末」するシーンでは、おりんの孫の嫁で食欲が旺盛な松やんも実家の家族とともに殺される。口減らしのため、おりんたちは黙って嫁を差し出す。

私たちの祖先は生き延びるために、何でもしてきたのだ。
そういうことなのだ。
↓映画版「楢山節考」
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posted by 蝶子さん at 12:43| 広島 | Comment(0) | は行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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